子供の付き添い入院~家族に寄り添うためにできること②

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初めて読む方は、子供の付き添い入院~家族と寄り添うためにできること①をご覧ください。

前回は、24時間付き添いをしている親の現状をお伝えしました。そこで、今回は現場の看護師の声と、少しでも親の負担を軽減させるために実施していた看護についてお話しします。

現場の看護師の声

色々と考えましたが、すべて要約すると、

小児病棟と成人病棟の看護体制が同じでは業務が回らない

圧倒的な人員不足が問題なのです。

成人小児
検温・自動血圧計での測定で時短可能
・じっとしてくれる
・自分で体温測定できる
・不調を自ら伝えられる
・子どもの年齢に合わせてマンシェットの交換が必要
・じっとできず、機嫌をとったり遊びながら検温しないといけない
・自分で不調を伝える事が難しい
内服・自分で内服できる
(中には自己管理ができない人もいる)
・内服管理が難しい
・赤ちゃんは吐き戻しが多く、飲み直しが多い
・内服を嫌がる事が多く、時には説得や介助が必要
検査・麻酔を使用しなくてもできる検査が多い
・検査の理解が得られやすい
・麻酔を使用する検査が多く、絶飲食が必要
・絶飲食のため、昼寝や食事、内服の調整が必要
・検査への理解が得られにくいため、プリパレーションが必要な場合もある
清潔ケア・自立している
・ケアが必要な場合は、時間を要することもある
・子どものリズムに合わせてケアの時間調整が必要
・体格が小さいため、ケア事態にかかる時間は短い

成人も、これ以上に大変な事もありますが、上記のように小児科には特有の忙しさがあります。 検温、検査の準備、清潔ケア、内服介助、点滴、検査の実施、カルテの記載・・・全てこなすだけであっという間に勤務時間が終了しています。 にも関わらず、小児科病棟と成人病棟の人員が同じでは業務をこなす事に精一杯となり、必要とされる看護自体に手が回りません。そして、

子どもの身の回りの事は親にしてもらわないと立ち行かない。
できる事はしてほしい。

と思ってしまうのです。親は「すべて親まかせにされる」と不満に思い、看護師は「親だからやるべきことはしてもらわないと」と看護の境界線が曖昧になってしまう状況に陥っています。

このような現状を踏まえて、付き添いをしている親の負担が少しでも軽減できるように私が取り組んできた事をお話しします。

同胞支援
兄弟が面会に来た時、積極的に話しかけることを心がけていました。できれば名前で呼んであげるとベストです。そうして、好きなものや学校の事、何でもいいので話をしてみてください。「おかあさん(または、患児)が、○○ちゃんの事を○○って教えてくれたよー。」と話すことで、 自分の事を心配してくれている人がいるという意識が兄弟にも芽生え、寂しさや不安が少しでも軽減されます。 また、親の口からが病気について話せない場合は、医師と相談し、兄弟に対して病状説明を行うこともしていました。患児が兄弟と面会できる時は、比較的体調が良い時が多いです。そのため、入院中のしんどさが伝わりにくく、「あんなに元気で、親もずっと一緒でうらやましい」と感じる兄弟もいます。そんな時は、イラストや写真を使用し、患児の日常を冊子にして説明する事で理解を得られたケースもありました。いずれにしても、兄弟が現状をどのように捉え何を感じているのか、親との普段の会話から情報をキャッチしておくことが大切です。

保育士と連携した援助
私の病院には保育士が在籍していたので、集団保育や個別保育を実施していました。遊びの時間は、患児や親にとって病気を忘れて没頭することができる楽しい時間です。保育の時間中は、患児がイキイキ過ごしており、親も笑顔でその様子をみている事が多いです。何かあれば、看護師を呼んでもらえますし、安心して預けることができるため、親にとっても安らげる時間なのです。その時間を利用して、親にも好きな時間を過ごしてもらっていました。看護師としては、ケアを代わりに行ったり、少しの間であればナースステーションで預かったり、検査の予定を調整して時間をつくっていました。保育士は、医療者ではないですが、患児の病状も把握しており、親にとっては悩み事を打ち明けやすい存在です。身近に話せる相手がいるため、親のストレスを緩和することができます。


親任せにしない

例えば、

薬が嫌ですぐ吐き出してしまうんです。

薬の形態を変えてみましょう。

お薬変えてみて、飲めましたか?

やっぱり飲めませんでした。

これは、「親任せ」にしていますよね。内服を親に任せて、看護師は飲めたかどうかの確認しかしていません。治療上、内服をすることは必要であるのに、飲ませられない親の負担は大きなものになってくるでしょう。内服だけでなく、夜間のオムツ交換や日中の清潔ケアにおいても同じことが言えます。入院していなくても、子どもの世話は必要です。それと同等の事は入院中も親に求めてもいいと私は思っています。しかし、点滴の持続投与によりオムツ交換が頻回になったり、内服を行ったり、点滴がつながっているため入浴介助が必要になったり、 治療上増える負担については、看護師も親と話し合い援助をしていく必要があると思います。 そうした事を踏まえ、先ほどの例を修正してみると、

薬が嫌で、すぐに吐き出してしまうんです。

まず、薬を飲む様子を見させてください。

・薬の溶かし方を変えてみましょう。
・味が嫌みたいなので、ゼリーを使用してみましょう。
・薬の量が多すぎるので、少しでも量が減らせないか薬剤師と相談してみましょう。
・薬の形態が合わないみたいなので、次は○○に変えてみましょう。

 また、次に飲むときは一緒にしてみましょう。

このように、全てを親任せにするのではなく、看護師も問題にきちんと介入し、解決していく事が大切です。

話を傾聴する
24時間付き添いをしているため、常に患児と親が一緒にいるため、親から話を聞く事が難しいです。「ちょっといいですか?」と親を呼び出して話を聞くことは可能ですが、そうすると患児は何かを察して不安を募らせる事もあります。そのため、大事な話をする時は、患児が眠っている時や検査の間、保育の時間やケアの時間を見計らって別室で話を伺えるよう調整をしていました。また、検査の結果が出た後、DrからICがあった後など、病状が変化した場合は必ず話を聞く時間を作りました。忙しい業務の間に長時間話を聞くことは難しいため、あらかじめ「○○時まで少し時間があるので、お話してもいいでしょうか?」と時間を伝えて話をすると時間調整がしやすいです。親も悩みや不安を口に出すことで、自分の気持ちも整理がつきやすくなり、 徐々に信頼関係を築くことができます。

まとめ
24時間付き添うという事は、想像以上に過酷な現状があります。私たち看護師は、親がどのような気持ちで付き添いをしているか考えた上で、少しでも負担が軽くなるようサポートしていく必要があります。患児が安心して入院生活を送れるように、付き添い者の精神的ケアもしていけたらと思います。

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