前回に引き続き、親の心を掴むコミュニケーション術についてお話しします。
初めて読む方は、小児科看護~新人ナースが親の心を掴むコツ①~をご覧ください。
子どもとのコミュニケーションをしっかりと
子育ての経験がない場合や、子どもと接する機会が少ないと、子どもとの関わり方に戸惑いを覚える人も多いです。成人の看護経験があったとしても、ここでつまづいて悩んでいる看護師を何人も見てきました。
子ども相手に何を話したらいいかわからない。検温するだけで精いっぱいなのに。
特に新人の頃はガチガチに緊張していますよね。雑談できる余裕もなく、顔もこわばった状態で子どもと接しているのではないでしょうか。緊張は相手にも伝わるので、子どもも身構えてしまって余計に会話が進まなくなってしまいます。
自分の気持ちや症状をうまく表現できない子どもの全体像を把握することは難しいため、まずは安心できる場所を提供し、徐々に情報を引き出していく必要があります。そのため、普段から子どもとコミュニケーションを図っておくことが大切になってきます。
子どもと円滑なコミュニケーションをとるために
・子どもの呼び方を親と同じにする
・今のブームを把握する
・約束を守る
子どもの呼び方を親と同じにする
入院してきたら、まず普段の呼び方を聞いておくとよいでしょう。ニックネームがあることで親近感が湧き、距離がグッと近づきます。また、親と同じように呼ばれることで安心感も得られます。
今のブームを把握する
例えば、好きなキャラクターや絵本、ゲーム、趣味など、今ハマっているものをリサーチします。
自分との共通点をみつけられたらラッキーですよね。そこから会話を広げていってください。 知らない場合は少しだけ勉強して知識を得て話題を広げたり、子どもに教えてもらったりして会話を広げていきます。共通の話題ができることで会話が楽しみとなり、仲間意識がうまれます。「この看護師さんと話すのが楽しい。この人になら何でも話せるな」と思ってもらえたら作戦成功です。
約束を守る
現場ではよく遊びを求められますが、業務上、すぐに対応できないこともあります。そんな時「また後でいくねー。」と言うのですが、なかなか業務が終わらない・・・。
仕事も終わらないし、どうしよう。まぁ、行けなくてもしょうがないよね。
ソレ、ダメ~!!です。
約束をした事は必ず守りましょう。守れない約束はするべきではありません。 小児科病棟では、遊びの援助も必要な看護となってきます。
どうしても遊べない場合でも、必ず病室に顔を出し、遊べなくなった事を伝えてください。入院中の子どもは他人と関わって遊ぶ機会が少なく、遊ぶ時間を楽しみにしている事が多いです。そういった思いを大切にしましょう。
親とのコミュニケーションをしっかりと
親と円滑なコミュニケーションをとるために
・生活リズムをなるべく乱さない
・プライバシーを確保する
・成長を喜ぶ
生活リズムをなるべく乱さない
特に乳幼児は授乳をしたりお昼寝をしたり、起きている時間が限られています。タイミングが合わず検温がなかなか行えないという場面は誰しも経験しているでしょう。私も新人の頃は検温ができない事に焦って、寝ている子どもでも容赦なく「検温です。」と言って測らせてもらっていました。自分の事しか考えてないですね。
・眠りのリズムが崩れて機嫌がわるくなる
・せっかく寝たのに、起きたら寝かしつけてくれるんでしょうね!?
・今必要?後じゃダメなの?
きっと、配慮が足りない!!って思われていたと思います。
では、どうすれば良いのか?
生活リズムと業務を照らし合わせ、親と予定を共有しましょう。
例 11時から治療の薬を投与予定だが、朝の訪室時に入眠しており検温ができていない場合
○○さん、おはようございます。あら、ちょうど寝てしまってますね。
普段と比べて、おかわりはありませんか?
おはようございます。
ご飯食べたら寝ちゃいました。特に変わったことはないですね。
今日は、11時から治療予定なので、それまでに一度検温をさせてください。
今は寝ているので、目が覚めたらナースコールで教えてください。
わかりました。でも、起きるかな?
もし、11時までに起きなかったら寝ていも検温させてください。治療の判定に必要なので。
このように親と予定を共有し計画を立てておけば、寝ていたとしても「無理やり検温された」とはなりません。あくまでも治療が優先ですが、子どもの生活リズムに合わせて看護を行うことが大切です。その行為の必要性を説明し、的確に業務を遂行しましょう。
プライバシーを確保する
付き添い中の親が唯一休める時間といえば、子どもが寝ている時です。とは言っても、その間にシャワーを浴びたり、ご飯を食べたり、トイレに行ったりと用事を済ませているため、実際のところはほとんど手放しで休める時間はない状況です。お風呂もつかれない、ご飯はコンビニや売店の惣菜ばかり、ベッドも添い寝か、簡易ベッドで疲れもとれない、いつ医療者が入ってくるかわからないので気が抜けない、そのため「人間らしい生活ができない」と話される親もいました。また、24時間患児と向き合っているため、逃げ場所もなく、心を休める事も難しいです。 そういった現状を理解したうえで、私が実施していた事は、
・訪室する時には必ず、今入っても大丈夫か聞く
・不必要な訪室はなるべく避ける
・あらかじめ訪室するタイミングを伝えておく
病室は、プライベートな空間と認識しましょう。実際に、「あの看護師さんは、いきなり部屋に入ってくるから困る」という話を聞いたことがあります。もちろん、緊急時は別ですが基本的にはプライベートな空間であるため、お伺いを立てましょう。また、あらかじめ訪室するタイミングを伝える事で、親は自分の予定も立てやすくなります。あらかじめ予定を立てておくと、一息つきやすいですよね。ちょっとした事ですが、意識して行動してみてください。
成長を喜ぶ
○○ちゃん、寝返りができるようになったんですね。
しゃべる言葉が増えましたね。
お薬上手に飲めるようになりましたね。
このように、子どもの成長をきちんと親に言葉にして伝えましょう。ずっと一緒にいると、少しの変化に気づきにくいものです。周りから伝えられることで改めて成長を感じることができます。病気によって成長がゆっくりであり、不安に思っている親も多いです。その中で子どもの成長は大きな希望となります。「髪の毛伸びましたねー。」など、何でも良いので気づいた変化を伝えてみてください。きっと、「よく見てくれているな」と信頼感も増すでしょう。
まとめ
小児看護は、患児だけでなく親も含めて関わることが大切であるため、難しさを感じる方も多いです。でも、子どもはかわいいですし、慣れてくればとても楽しい領域だと思います。知識をつける事はもちろん必要ですが、患児から情報を引き出すためにはコミュニケーションをしっかりとる事が大切です。まずは、親の気持ちをガッチリ掴むコツを習得し、第一関門を突破しましょう。
コメント